世界一周 no.23 – モントリオールで教会巡り 【2025年6月26日】

Basilique Notre-Dame de Montréal 未分類
モントリオール・ノートルダム聖堂のパイプオルガン

モントリオールはフランス語の街

今日は一日をモントリオールの市内観光に当てることにしています。観光といっても、まそれほどには詰め込まず、気ままなブラ歩きスタイルです。一応、是非行きたいと事前に考えていたのは、モントリオール・ノートルダム聖堂(Basilique Notre-Dame de Montréal)くらいです。ということで、いざ宿を出発しました。

フラフラと歩きながら、バンクーバーとは街の雰囲気がちがうと感じます。感覚的な話なのですが、理由を考えてみました。まずは言語です。カナダには「公用語」という概念があり、英語とフランス語が連邦レベル(カナダは連邦国家です)で公用語とされています。両言語の扱いに差はなく同格に扱われます。

では州レベルではどうでしょううか。バンクーバーが位置するブリティッシュ・コロンビア州には公用語という概念はありませんが、事実上英語がその地位を占めています。実際、バンクーバーでフランス語を耳にすることはありませんでした。一方でモントリオールが属するケベック州では、フランス語だけが公用語とされています。従って州政府が提供する諸サービスはフランス語で行われています。街中で聞く言葉もフランス語です。

住民の出身地構成にも影響

雰囲気の違いを感じるもう一つの要因は、街を歩く人の人種構成(出身地構成と言い換えてもいいでしょう)の違いです。バンクーバーは体感で東洋系が多く、モントリオールはアフリカ系が多いと感じます。そこで少し調べてみました。結果は以下の図表1です。

【図表1】バンクーバーとモントリオールの人種構成比
欧州系アジア系アフリカ系アラブ系ラテン系その他
バンクー
バー
48%45%2%0%2%3%
モントリ
オール
66%11%11%8%4%1%
出典: Metro Vancouver and City of Montreal, 2021 Censusに基づき著者が推計、四捨五入により合計が100%にならない

私の体感はあながち間違ってはいなかったということですね。バンクーバーのアジア系の内訳は、中国系が約20%、インドなどの南アジア系が約12%、さらにフィリピン系が約6%と続きます。モントリオールのアジア系では南アジア系が約5%、次いで中国系3%となります。

出身地構成の違いもフランス語に帰着

バンクーバーで中国系の人口が多い理由ですが、一つには歴史的な背景があります。19世紀後半のカナダ太平洋鉄道建設に従事した中国人労働者がバンクーバー周辺に定住しました。もちろん、バンクーバーがカナダにとってのアジア太平洋の玄関口であることも大きな理由でしょう。中国や香港、台湾からの直行便も多く、地理的にも比較的近いといえます。

これらに加えて、1997年の中国への香港返還の前後に移民ラッシュが起きました。香港の政治的な不安定を背景に、多くの香港人がカナダへ移住し、バンクーバーはその主要な受け入れ先となったわけです。さらに1990年代以降、中国本土からの移民も急増し、コミュニティの多様化が進んでいます。

また、モントリオールでアフリカ系の比率が高いのは、西アフリカや中部アフリカのフランス語話者の移民流入が大きな要因と考えられています。カナダの移民制度は「フランス語話者移民」を優遇するプログラムを持ち、ケベック州は特にフランス語能力を重視しています。モントリオールとバンクーバーの雰囲気の違いは、結局のところフランス語の要因を求めることができるわけです。

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