トイレまで完備した個室
アナウンスに従って車両に乗り込みます。一人用の個室(Cabin for One)ですが、カナダ国鉄のホームページの記述から簡単におさらいしましょう。要は昼は座席、夜は寝台となる個室ということです。さらに個人用のトイレとシンクが部屋の中に備え付けられています。乗車中の食事は、もちろん食堂車で取ることができ、料金の中に含まれています。モントリオール・ハリファックス間は、夕食、朝食、昼食の三食が付きます。

部屋はホームページの説明どおりです。トイレとシンクですが、シンクは収納が可能な造りでした。トイレはそのものずばりですが、未使用時は蓋をして、その蓋が足置台になるという造りです。広々とはとてもいえませんが、一人用としては十分です。



実際にトイレをつかってみての感想ですが、やや狭いかなと思いました。個室に装着されている以上、贅沢はいえませんね。臭いが気になるかなと思ったのですが、臭うことは全くありませんでした。歳をとって若干近くなった私にとっては結構便利でした。
十分すぎる量の食事
さて、長距離列車最大の楽しみは食事です。モントリオール・ハリファックス間は三食付いているわけですが、それぞれを説明していきますね。昼と夜は前菜、主菜、デザートの三皿、朝は一皿です。飲み物とパン類は三食それぞれに付いてきます。
モントリオール出発が夕刻、18:30でしたので、発車後すぐに夕食の時間となります。私は乗車前の食事時間帯予約で出遅れたため、最終の時間帯を選びました。21時頃だったと思います。この辺はジャスパーからバンクーバーへの復路乗車の状況と同じでした。その時の状況を説明する投稿記事のリンクを以下に貼っておきますので、興味があれば参照してください。
以下の三つの写真は順に、乗車当日の夕食の前菜、主菜、デザートです。前菜にはスープを選択しました。主菜は肉の煮込み、そしてデザートはブルーべりー系のケーキです。どれも美味しくいただきましたが、カロリーは高そうです。この点は要注意。



一夜を明かして再び食堂車へ
夕食を終えて席に戻るとシートは寝台に変更されていました。私の体格では、広さは全く問題ありません。もちろんフルフラットで、快適に眠れました。シートアレンジが寝台に変更されると、当然ながらトイレはその下になり使うことができません。変更後は、各車両の端に設置されたトイレを使うことになります。
朝目が覚めてから昼食までにはそこそこの時間があります。寝台モードから座席モードへの変更は朝食を取っている間に行われるので、暫くはベッドの上でゴロゴロして過ごしました。走行しているうちに私の時間帯の朝食の呼び出しです。もっこり起きて、のんびり食堂車に向かいます。
朝食のオーダーでの失敗談を一つ。メニューからパンケーキを選びました(美味しそうだったからです)。実際、美味しくいただきました。ただ、パン類も付いてくることを忘れていました。写真のようにトーストにしたのですが、見事に炭水化物系でかぶってしまいました。メニューにはハムエッグとかの炭水化物系以外も載っていたので、そちらにすれば良かったとちょっとした後悔です。

三回目の食事も満足
乗車中の最後の食事、昼食です。夕食と同様に三皿で供されます。飲み物でオレンジジュースを頼んでいても、どうもコーヒーは関係なく頼めば注いでくれるようです。そこで今回は飲み物としてはオレンジジュースを頼み、デザートを食べる時にはコーヒーをお願いしました。
今回の食事を振り返ると、夕食は四人席での相席となりました。他の三人の英語は比較的分かり易く、それなりに楽しく会話ができました。そうした雰囲気は食事を楽しくさせてくれます。特に三人の内の一人は、イギリスのケンブリッジ大学で言語学を専攻しているノルウェー出身の一人旅の女性でした。彼女のおかげで会話が弾み、私としては大助かりでした。
翌日朝は二人掛けのテーブルでの相席でした。二人掛けでは相手も一人なので、会話が弾みやすくなります。今回の相手は一人旅の男性でしたが、実際に会話がそこそこ弾み、私としては楽しく食事ができました。
最後の昼食も二人掛けテーブルでした。さらに相席には初日の夕食で相席となったノルウェー出身の女性でした。これは私にとってはラッキーでした。様々な話題で会話というか意見交換ができ、その場を楽しく過ごすことを超えて有意義な時間を過ごし、知識を得ることができました。一人旅での列車の食事が楽しめるか否かは、本当に運と偶然に依るところが大きいですね。



列車内あれこれ
最後に、今回のモントリオール・ハリファックス路線で感じたことを幾つか紹介します。寝台席(Sleeper Plus)ではない通常の座席ですが、2+2配列の車両と2+1配列の車両の二種類が連結されていました。2+2配列はエコノミー(Economy)、2+1配列はビジネス(Business)とのクラス分けでした。このビジネスクラスの車両はバンクーバー・ジャスパー路線には連結されていませんでした(私が乗った時はですが)。

食堂車に移動する際に倉庫的に使われている車両を通るのですが、そこではカナダ各州の旗が掲示されていました。写真で示した旗はケベック州のものです。この旗にある四つの紋章はフルール・ド・リス(Fleur-de-lis)と呼ばれ、ユリ(若しくはアヤメ)を意匠化したものとされています。フランス王家やカソリック教会での聖母マリアを象徴する意味があり、フランスにルーツを持つケベック州として、自らのアイデンティティを示すためにこの紋章が使われているとのことでした。

列車はモントリオールからハリファックスまでの間、ケベック、ニュー・ブランズウィック、ノバスコシアの三つの州を通過します。列車内のアナウンスですが、ケベック州内ではフランス語、英語の順でした。ところがニュー・ブランズウィック及びノバスコシアの二州ではこの順番が逆転していました。これは偶然ではなく、意図してそうしているのだと思います。言葉の問題は奥が深いですね。



コメント