山で自覚 – 老いによる衰え

mt.tsurugi_from_mt.tsubakuro 山登り
燕岳山頂から遥か剣、立山を望む

年一山行で北アルプス燕岳へ

認めたくはありませんでした。まだ頑張れる、ずっと自分にそういい聞かせていました。でも、今回の山行で認めざるを得ませんでした。

今回の山行は早朝に首都圏の自宅を出発、特急あずさで大糸線の穂高駅に昼前に到着します。そこから乗り合いバスで中房温泉まで。中房温泉は北アルプス燕岳の登山口となっています。昼過ぎに登山口を勇躍出発、が直ぐに大量の汗、何故か体に力が入りません。

ちょっと登っては休み、またちょっと登っては休みの繰り返しでした。当然に時間はかかります。標準のコースタイムは大幅に超えています。昼過ぎの出発す。明るいうちに着けないかも、そんな不安もよぎりました。

這う這うの体で何とか当日の目的地である燕山荘(山小屋の名前です)にたどり着きました。まずは良かった。でも、何故こんなにも苦しく、時間がかかったのか。真剣に考えざるを得ませんでした。

這う這うの体で辿り着いた燕山荘後方のピークが燕岳です。

標準タイムからの遅れ

下の図表1をご覧ください。先日の山行で燕岳への登山ルートである合戦尾根を上った際の標準タイムと私が実際に要したタイムの比較です。当日の目的地である燕山荘まで、私は340分かかりました。一方で標準タイムは250分、なんと36%も標準タイムから遅れました。

【図表1】燕岳合戦尾根の登り(2025年9月3日)
注: 標準タイムはYAMAP地図上に表示されたコースタイムを使用

さらに図表1から明らかなように、登山開始から時間が経過し、距離を稼ぐほど乖離幅は大きくなっていきます。行動による疲労が蓄積していったということでしょう。自身の体感でも、とにかく後半は厳しい状況でした。燕山荘まで辿り着いた自分を褒めてあげたい、本当にそういった気持ちになりました。

実は去年の山行も遅かった

とにかく今回の山行がキツかったことから、「時間」という客観的な指標を用いて本山行を振り返ってみたわけです。すると上記したこと、①自分の行動時間は標準タイムより遅い、②行動時間が長くなるにつれより遅くなる、この二点が明確化されました。

これは今回の山行に特有で、たまたま今回は体調が悪かった。そう思いたいわけですが、本当かな。年一登山家の私としては記録を真面目に取ることはしてはいないのですが、昨年の山行の記録がありました。富山県の折立登山口から太郎平小屋を経由して薬師岳山荘を目指した登りです。

太郎平小屋に向かう途上から見た景色。中央の一番高い山が薬師岳です。
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図表2は昨年に折立登山口から太郎平小屋を経由して薬師岳山荘を目指した際の標準タイムと私のタイムとの比較です。残念ながら、今年の燕山荘までの登りとほぼ同じ結果でした。当日の目的地である薬師岳山荘まで私は474分かかりました。一方で標準タイムは330分、標準タイムから44%も遅れたことになります。距離が長かったからでしょう、乖離幅は今年よりも大きかったのです。

【図表2】折立から薬師岳山荘への登り(2024年9月6日)
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注: 標準タイムはYAMAP地図上に表示されたコースタイムを使用

事実を認める

これはもう仕方ありません。私は標準タイムどおりに上ることはできない、認めざるを得ません。

何故こんな簡単なことを大仰にいうのか。それは自分が若かった頃の記憶を強烈に覚えているからです。私は大学時代に山登りのサークルに所属し、かなりの頻度で山に行っていました。行った山や辿ったルートは相当に難しいものも多々ありました。夏山だけでなく冬山にも行っていました。

自分の行動タイムと標準タイムの比較でもそうです。半分とはいわずも標準タイムの2/3以下の時間で目的地に着くことが殆どでした。そう、自分は凄い登山者なんだと心の中で思っていたのです。歳をとった最近ではどうか。それでもです。

さすがに若い頃のようにはいきません。それでも十分に標準タイムを上回って行動できる、そう思っていました。実際、数年前まではそうでした。昨年の薬師岳登山では大きく標準タイムを上回りました。それは体調が悪かったから、そう思うことにしていたのでしょう。

昨年、今年ときてもうダメです。体調のせいではありません(少しはあったかも)。認めるべきなんです。老いて衰えてきていると。もう標準タイムでは歩けない、全ての計画それを前提に立てるべきと。

受け入れて、山を楽しもう

事実を認め、受け入れて、その上で山を楽しもう。私はこれからも山に行きたいと思っています。時間の自由度が大きく向上した今、年一登山者から卒業して年数回登山者くらいにはなるつもりです。そのためのトレーニングもするつもりです(多分)。

今回、本当に辛く疲れた登りでしたが、それでも素晴らしい景色を経験することができました(下の写真を見てください)。自分の現状を正しく認識した上でそんな経験をこれからも得続けたい、そう強く願っています。

燕山荘から見た日の出荘厳な瞬間です。
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朝日を浴びる槍ヶ岳、綺麗でした。
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